知的資産経営報告書の年次更新がなぜ必要なのか
みなさん、こんちは。
今回は、「知的資産経営報告書」の具体的な活用事例として、事業承継についてお話しをしたいと思います。
事業承継、今、あちこちで話題になり、セミナーも多く開催されていますね。
中小企業基盤整備機構「中小企業のための事業承継対策」(2010年)によると、事業承継における資産承継は、下記のようなイメージになります。
これを見ていただくと、目に見えにくい経営資源、すなわち、「知的資産」の承継が大事だということがよくお分かりいただけると思います。
それでは、なぜ、「知的資産」の部分が大事か、その一つが、事業承継を迎える経営者と後継者の間に生じる認識のギャップです。
現経営者が後継者を見て、「息子はまだまだ頼りない!」と言ったり、後継者が経営者を見て、「親父の考え方は古い!」と言ったりすることがよくあるんです。
この場合、原因はコミュニケーション不足であることが少なくありません。
実は、親子の会話はできても、意外と、経営者と後継者の会話ができないものです。私も、今まで、そのような場面に何回も立ち会ってきました。
そこで、私は、知的資産経営報告書を2人で作るという過程を通じて、お互い向き合い、話し合いのきっかけを作ることをお勧めしています。
報告書を作成するプロセスを通じて、自社の強みと経営課題を共有化、見える化することができ、さらに、じっくり向き合うことで、お互いの“違い”に気づき、尊重し合えるようになります。
また、非常に優秀な後継者が後を継いだにも関わらず、変えてはいけないものまで変えてしまったがゆえに、会社のしくみがおかしくなって、かえって業績を悪くしてしまった例もたくさんあります。
なぜ、そうなってしまったのか?
それは、自社の価値創造ストーリー(=知的資産の連鎖)が分かっていなかったからです。
今まで、知的資産は、単体では価値をなし得ない、価値の連鎖が大事だ、としつこいくらい申し上げてきたと思います。
そのため、事業承継において、何を引き続き、何を変えていくのか、それを明確にするためにも、知的資産経営報告書の作成・活用は、非常に有効的です。
事業承継が完成するまで、最低でも5年はかかると思います。
そのため、「知的資産経営報告書」も5年間は作成・更新をし続けていく必要があります。
もちろん、事業承継を成し遂げた後も、新社長が会社の方向性を決めていくための非常に有効なツールになります。
次回も、引き続き、「知的資産経営報告書」の具体的な活用事例についてお話をしたいと思います。
中小企業での現場経験がある中小企業診断士です!
「無形の強み」を見える化し、活用した経営支援を得意とします!
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