事業再構築補助金の採択ポイント その2
前回のブログで「補助対象事業としての適格性」が重要だという話をしました。この補助金に限らず、行政は補助金の目的を明確にしており、その目的にそぐわない場合には補助金対象外とすることが多いからです。
さらに、事業再構築補助金では「製品等の新規性要件」が重要視されています。つまり、コロナの影響で今のビジネスの調子が悪いため新たなビジネスを立ち上げてV字回復して欲しい、という行政側の思惑が強く表れた要件となっています。
ただ、この新規性要件は「手がける商品・サービス」も「販売先の顧客」も従来とは異なる対象とすることが求められています。アンゾフの成長ベクトルで言えば、商品・サービスと市場・顧客を新しくする「多角化戦略」を行なえということです。通常、我々のようなコンサルタントの感覚だと「失敗確率爆上がり」の案件です。
ともあれ、要件を満たさないと採択されません。ここでは、いかに新規性を出していくかという事がポイントです。ただし、事業再構築補助金の1〜2回目で採択された計画書の多くで新しさを求める余り実現可能性が低い事業計画を作成したものが多発したようで、実行可能性についても厳しく問われる事になりました。
そのことをふまえて考えると、「製品等の新規性要件」とは、既存事業・商品・サービスと本助成事業・商品・サービスの新規性の程度をいいます。この程度を適切に示すことが非常に難しい。なぜなら、審査する審査員のそれぞれが新規性を感じる程度が異なるからです。
ダメな例として、電子機器メーカーが既存商品と似たような印商品を作成して販売するのはNGです。また、小売店が売り場を新しくしても同じような商品を販売するのでは採択されません。明らかに既存に比べて新しくない商品・サービスであればほぼ不採択となるでしょう。
そのため、既存とは明らかに異なる商品・サービスを考える必要があります。
ただし、既存とあまりにも離れたビジネスを提案すると、「実現可能性が低い」として不採択になります。大事なのは「既存のビジネスでつちかった経験、ノウハウ、一部の設備などは使えるが、新たに購入する設備・施設がないと新規ビジネスを立ち上げることができない」というストーリーを考えることです。
例えば「航空機部品」を製造していた会社が、何の伝手も技術もノウハウもないのに「医用機器部品」を製造するという事業計画書を作成しても、何ら理由もなく、納得感もない印象となりNGとなる可能性が高いです。
この場合には、航空機部品を製造する技術・ノウハウ、設備等がどのようなモノで、これらを使うとどのような医療用部品が製造できるか、またどのような販売ルートがあるのかといったストーリーを作成することがポイントとなります。
少し長くなったので残りは次回に記載します。
以上
講師
座間 正信 / 株式会社アイピーアトモス
企業の強み、市場の機会、アイデアに関する特許情報、市場における類似商品、今後の成長分野など幅広い視点から儲かる商品開発のアドバイス