【効果的なコストダウンのタイミング】
先般、セミナーの中で、工場の生産設備の掛持ち台数を増やすとコストダウンになるということを述べました。
このとき、ある受講者の方から、コストダウンにはならないのではとの質問をいただきました。
確かに現場の作業者が、掛持ちの台数を増やしても、それだけではコストダウンになりません。
その機械を担当を外れた作業者が、ほかの生産活動に従事しなければコストダウンを実行することになりません。
製造業の場合、原材料や購入品などの外部調達原価を除き、工場で発生する費用の大半は固定費です。
この固定費が、製品に割付けられて製品のコストになります。
したがって、固定費に対して、生産量が増加しないとコストダウンが達成できないわけです。
また、コストダウンは、生産性を向上させることであるとも理解できます。
この関係は、会社の生産能力と受注状況(生産量)によっても、影響を受けます。
受注量が少ないときには、ほかに生産する品目が無いためコストダウン成果が出にくくなります。
固定費の削減、つまり人員削減や設備機械の売却を検討することになります。
一方、受注量が多いときには、ほかに生産品目があるわけですから、生産数量が増加することによって、コストダウンの効果がはっきりと出ることになります。
ただし、受注量が多いからといって、残業などの追加費用を安易に増やしてはいけません。コストアップになることもあります。つまり、効率を上げることです。
このように、コストダウンは、経営活動や生産活動、改善活動を知るとともに、コストとの関係をしっかりと理解しておくことが重要です。
日常の経営や生産の活動とコストの関係を知らないと、労多く成果の少ないコストダウンなってしまいます。
そして、工程改善や作業改善などの改善活動によるコストダウン効果は、受注量が多いタイミング(時期)がもっとも効果的であるということです。
よくベアリングやリニアガイドなどの機械要素部品から好調な業種など情報を確認しているのですが、現在機械要素部品の入手が厳しく、メーカー側も新規受注に対応しきれいないほど好調です。
これは、これらの部品を組み込んだ製品を作っているマーカーが、好調であるkとを示し、生産量が増えていることを意味しています。このタイミングでのコストダウンを推進すべきです。
最後に注意しておきますが、ここで述べたコストダウンは、社内に対して適用するものです。
これに対して、外部からの資材調達である購買部門は、契約日からコストダウンを実施することができます。つまり、即効性があるといえます。
ただ、現在の市場動向は、前述しましたように機械要素部品が逼迫していることや原材料が上昇傾向にありますので、理論武装がないと進めにくいでしょう。
とくに外注加工品では、単価を比較して、安い高いではなく、そのような作業が含まれているのかを知る必要があります。
たとえば、小ロットや受託生産の場合には、段取り作業が大きく、位置決めやプログラムローディングなどの内段取り作業や材料や冶工具準備などの外段取り作業、プログラム作成、冶工具製作などが含まれています。
まず、これらの作業を知ることです。
ここではコスト情報のまとめ方概略を解説しましたが、
具体的なまとめ方のノウハウは、「設計者向け「図面見積もり力」&「コスト作り込み力」トレーニング」の日刊工業新聞社セミナーにて紹介します。
ぜひ、コストダウンスキルを高めたい方はご受講ください。
ビギナー向け図面から加工コストを見積もる力のトレーニング
〜シミュレーターによる図面から見積もりの演習・工順設計とコストダウン進め方 〜
コストテーブルを活用した原価の見積、原価管理、MRPUをベースとした生産管理システムによるコストダウン・コンサルティングを中心に活動しています。
機械加工品の見積もりソフト
「コスト・シミュレーター」
「切削・研削コストテーブル」
「簡単見積切削品」
板金加工品の見積もりソフト
「コスト算定システム」
「簡単見積板金品」
これまで、加工品見積ソフト5種類ともにExcel32bit版にのみ対応していましたが、今回Excel64bit版にも対応することになりました。
これによって、Office2013以降のプリインストール版に、Excel64bit版が搭載されている場合でも、すぐに見積ソフトを運用することができるようになりました。
また、Excel32bit版とExcel64bit版が混在している環境でも、区別することなく、同じ操作で見積コストを算出することができます。
操作方法や機能などの詳細は、弊社HPの見積ソフトおよびデモ動画のページを参照ください。
なお、現在デモ版の配布は行っておりません