【非常に安易かつ危険な発想】…加工技術の中抜き

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【非常に安易かつ危険な発想】…加工技術の中抜き

コストプランニング社が提供する弊社では、収益性の向上を図るための見積システムの構築およびコンサルティングや、見積ソフトの開発・販売をしています。 本レポートでは、システム構築の視点からそのポイントについて解説します。

【非常に安易かつ危険な発想】…加工技術の中抜き

 

バイヤー(購買担当者)は、外注先からの加工品の見積もり金額を査定する担当者でもあります。

 

最近、購買担当者からこの査定業務について、「CADデータから自動的に見積もり金額を算出し、そのデータをもとに外注先と交渉を進めたい」という相談を受けることが増えてきました。

 

「工順や加工設備機械などを考えることなく、外注先との価格交渉のための目安金額を知りたい」というものです。

 

これは一見良いように見えますが【非常に安易かつ危険な発想】といえます。

 

購買業務の価格交渉では、取引条件を中心にした「商談」品質や技術を中心にした「技談」に分けて考えることができます。

 

そして、加工品の価格交渉では、品質面を考慮した技術的な部分での打合せが重要になってきます。
また、外注先に対してVE提案をお願いする必要性も多々あると思います。

 

このようなときに、購買担当者が冒頭のように「CADデータから自動的に見積もり金額を算出し、【工順や設備機械を知らないで交渉する】ということは、コストダウンのポイントがわからず、高コストの発注をしてしまう危険性があります。

 

CADデータから自動的に見積もり金額を算出する方法では、どのような材料(材質、形状、大きさ、量)に対して、どのような加工法を用いるのか、技術的なポイントを踏まえず、なんとなく自社の目安金額に合わせるように要求するだけの価格交渉になってしまうからです。

 

その結果、外注先からは「No」をつきつけられ、購買担当者はコストダウンはもう限界だ、と考えるようになってしまいます。

 

このように「加工技術について理解しようとしないでコストを利用すること」を「加工技術の中抜き」をするといいます。
これはコストダウンを進める上で非常に危険な考え方です。

 

加工品の価格交渉では、商談よりも加工技術に関する打合せ(技談)のウエイトが高いものです。

 

たとえば、
筆者にも「外注先にコストダウン要求を要求しているけれども、限界である何か良い方法はないか」と相談がありました。
よくよく聞いてみると、無駄に大きな材料を外注先に納品していたことで、無用な切削加工業務が発生し、それが大きなコストになっていました。
これを適正な大きさの材料にすることで、この切削加工の工程が大きく減り、結果として20%もコストダウンにつながった・・・そんな事例もありました。

 

このように「工順や加工設備機械を理解しない」しないことは、担当者がコストダウンする能力を身に着けないこと」と同義であり、きわめて【危険な考え方】であることをご理解いただけたでしょうか。

 

また、購買業務の中には、設計部門を支援する開発購買があります。

 

開発購買は、ユニットや部品を製作するときにコスト情報の提供やコストダウンのためのアドバイスを行います。
しかし、「加工技術の中抜き」をしてしまうと、加工品に対するアドバイスができない・・・つまり、コストダウンの可能性が失われることになってしまいます。

 

このように「加工技術の軽視」は、コストダウンが進められない状況になっていく危険があるということを認識してください。

 

もちろん、「CADデータから見積もり金額を自動的に算出するシステム」そのものに意味がないといっているわけではありません。

 

たとえば、製品の基本設計や構造の詳細を決める段階では、構成要素や部品について概略コストを考えることが、部品仕様を作成する選択基準の一つになります。

 

一般には、設計者の頭の中でこの検討がなされ、構造や仕様が決定されるものです。

 

そして、ここに設計者の能力の差が、生じることになります。

 

このため、「能力差を埋める一つの手段」に「流用設計」が用いられてきました。

 

流用設計は、既存製品の一部を変えて、新たな製品とすることです。

 

この流用設計は、製品の品質や性能を均一化しやすく、開発期間の短縮や開発費用を削減するなどのメリットがあります。

 

当然、流用したユニットや部品の過去の実績データをもとに、作図するユニットや部品(加工品)の金額の予測も

 

しかし、近年は、予測した金額にはならず、予算額(目標コスト)オーバーで設計の見直しをすることが起きるようになってきています。

 

さらに、【その原因が明らかにされることなく】、チェックリストを作成して対策をすることに主眼を置いています。

 

この予算額(目標コスト)のオーバーの原因は、「コストに対する理解不足」と「実績コストデータを用いていること」にあります。

 

とくに「コストに対する理解不足」とは、拙著「設計者のためのコスト見積もり力養成講座」でも紹介していますが、【面取り寸法】や【公差】などがコストを大きく変化させることがあることを理解していないことです。「図面」と「コスト」の関係を理解できないことにあり、これは「加工技術の中抜き」のために生じていることなのです。

 

このように「加工技術の中抜き」は、担当者のコストダウン能力を低下させていることをぜひ理解ください。

 

加工技術の中抜きをやめ、コストを変化させる要因・・・「面取り寸法」や「公差」、工程、各種加工技術を理解・整理しておくことが、コストダウンスキルを高めることであり、予算額(目標コスト)を達成するポイントになってきます。
加えて、部材の構造や大きさ、形状などに自社で「分類整理」して、「コストパラメータ」によってを設定しておくことで、素早く「概略コストを算出」することができるようになります。

 

ここではコスト情報のまとめ方概略を解説しましたが、
具体的なまとめ方のノウハウは、「設計者向け「図面見積もり力」&「コスト作り込み力」トレーニング」の日刊工業新聞社セミナーにて紹介します。
ぜひ、コストダウンスキルを高めたい方はご受講ください。

 

間館 正義 / 日本コストプランニング
コストテーブルを活用した原価の見積、原価管理、MRPUをベースとした生産管理システムによるコストダウン・コンサルティングを中心に活動しています。

 

 

 

 

機械加工品の見積もりソフト

 「コスト・シミュレーター」
 「切削・研削コストテーブル」
 「簡単見積切削品」

 

板金加工品の見積もりソフト

 「コスト算定システム」
 「簡単見積板金品」

 

これまで、加工品見積ソフト5種類ともにExcel32bit版にのみ対応していましたが、今回Excel64bit版にも対応することになりました。

 

これによって、Office2013以降のプリインストール版に、Excel64bit版が搭載されている場合でも、すぐに見積ソフトを運用することができるようになりました。

 

また、Excel32bit版とExcel64bit版が混在している環境でも、区別することなく、同じ操作で見積コストを算出することができます。

 

操作方法や機能などの詳細は、弊社HPの見積ソフトおよびデモ動画のページを参照ください。

 

なお、現在デモ版の配布は行っておりません

 

 

 

各種「加工品見積ソフト」については
こちらからお気軽にお問い合わせください。

 

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