売上高と利益のどちらが重要か
会社の第一の目的は何でしょうか。
社会への貢献、従業員の幸福などが挙がるかもしれません。
しかし、会社の第一の目的は、利益の獲得です。
もし、利益を得ることができなければ、社会貢献は困難ですし、株主への配当、従業員の昇給などもできませんし、将来の会社存続を危うくするものです。
この考えに異論は無いでしょう。
それでは、具体的な行動を見ることにしましょう。
業績の思わしくない会社に伺い、経営改善計画に加わり、売上高や原価など具体的な数値を見せていただきます。
この時に工場を見させていただくとともに以下の質問をさせていただきます。
@.顧客に対する見積り金額をどのように算出しているのかを確認する。
A.原価算出の仕方について確認する。
B.原価標準を設定している場合、その裏付けを確認する。
この結果、ものづくりと原価の関係の結びつきが見えてくるものです。
見積り金額と受注金額の差額、社内の製造原価、直接材料費、標準値と実績値などといった関連性を確認することによってその会社の数値上の課題が見えてきます。
まず顧客への見積り金額には、理論的な裏付けがあるかということです。
自社で販売している他の製品との比較で、見積金額を決めていないかということです。
これは、市場価格ともいえるかもしれません。
それは、ある一定の金額以上の売上高を確保できれば利益が出ると考えていたり、過去のデータや実績をもとに判断をしている場合に起きているようです。
この結果、決算書を見て、初めて業績がよくなかったことを知ることになるのです。
つまり、受注単価=原価+利益ということで、受注単価>原価の成り立っていることを確認していないということになります。
この確認を怠ってしまうと受注できたとしても、利益の獲得が困難になってしまいます。
つぎに原価算出の仕方についての確認です。
原価算出のために社内の原価基準を持っていること、算出方法についてのルールがどのようになっているかということです。
最近訪問した会社では、原価を算出しているのですが、幹部や会計士の方々にお尋ねしても、その算出方法についての回答を得られないということがありました。
これでは、原価に対する信頼性など無くなってしまいます。
そして、原価標準を用いた標準原価も、信じなくなってしまうのです。
そしてもう一つ、受注単価と直接材料費を整理・比較して、確認をしておくことです。
受注単価から直接材料費を差し引くと自社に残るお金がわかります。
残ったお金と社内でかけた手間(加工や組立などの労力)を比較して、見合うものであるかを確認することです。
実務に携わっている方であれば、この比較によって、採算性のおおよその目安を付けることができるのではないでしょうか
ときに受注活動では、見積原価を算出して利益を加味した見積金額を設定しているが、見積原価を下回る金額で受注獲得を図ることがあります。
営業部門としては、受注獲得できなければ工場が遊んでしまうことや営業担当者の成績、顧客とのこれまでの関係などの理由があるでしょう。
これは、一概に間違いであるとは言えません。ただし、継続する受注品では、避けるべきです。
この考え方は、固定費と変動費の考え方を知っている方たちから出てくることが多いようです。
営業担当者が、受注獲得のための競争が厳しく、受注単価から直接材料費を差し引いた金額が少なくなってもあればよいと考えて、安易に進めてしまうのです。
この場合、確かに社内にお金は残りますが、社内で発生する必要分を十分に確保できているわけではありません。
それは、他の受注品を持って、仕事量でカバーしようという考え方です。
そのように案件を持ってこれればよいのかもしれませんが、それも厳しい競争状況にあれば同じことになってしまうのではないでしょうか。
これでは、たとえ受注額を増やすことができたとしても、工場の能力オーバーや費用の増加を招くことになり、利益を確保できない可能性があります。
これまでの内容で考えていただきたいことは、利益の獲得を目的としているはずなのに売上高を中心に考えていないかということです。
会社の第一の目的は、利益の獲得です。
利益の獲得を中心に考えるべきであって、その手段として売上高のアップという課題があるわけです。(もう一つは、経費の削減になるでしょう。)
もっと利益を獲得することに対して意識すべきではないでしょうか。
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