「急がば回れ」の経営〜コーチングとは、TOCの実践手法である】
公認会計士の塙健一郎です。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
タイトルのTOC、皆さんご存知でしょうか?
そうです。監査の世界ではTOC=Test of Control。統制テストの事ですし、五反田ではTOC=東京卸売センターの事ですが(すいません、つまらない引用ですので無視してください)、ここでのTOCはTheory of Constraint、つまり「制約理論」。
制約理論は有名な「ザ・ゴール」の著者、エリヤフ・ゴールドラット氏(以下G氏)による理論です。
「この世で一番シンプルな理論」だと思っています。
制約理論、おさらいも兼ね簡単にご説明します。
まず、手で輪ゴムの輪っかを作ってください。
この輪っかゴムの強度、何で決まりますか?
そうです。輪っかゴムの一番弱い部分で全体の強度が決まります。
なぜなら、輪っかゴムを引っ張ると、必ずそこで切れるから。
だとすれば、まずはこの一番弱い部分の強化だけに注力しましょう、というのが制約理論。
全体のパフォーマンスを高めるには、一番弱い部分だけに集中する。
それ以外の強化は無駄な努力(極論です)。
どうでしょう?
「コーチング」には無関係に見えますか?
この点、私の考えはこうです。
コーチングは制約理論の実践手法である。
なぜなら、それはクライアントの輪っかゴムの一番弱い部分を、クライアントに寄り添い探り出すツールだから。
なぜ私がそう考えるのか?
今は亡きG氏が残した分析結果がヒントになりました。
G氏は、企業の制約の多くは方針制約※である、と分析しています。
物理制約(例:人手・資金不足)ではなく。
※ 方針制約とは、例えば意図せず競争を促す評価制度や、多く売れるほど良いとの思い込み。
大半が方針制約なので、コスト不要の改善が実は山ほどある。
G氏はそう言っています。
そして、これは個人レベルでも同じ。
私はそう考えています。
個人の成果を制約するのは、知識や財産の多寡など物理的なものではない。
企業同様、多くの場合、個人が持つ方針が制約になっている。
それは、例えば「変われない」「唯一の答えがある」との思い込み、経験による「感情的な壁」など。
そのような個人の方針制約を共に探すためのツール。
それがコーチング。
どうでしょう?
どうお感じになりますか?
屁理屈では?
人間そんなに単純?
そんな疑問も出るかもしれません。
さて、G氏はこんな言葉・信念も残しています。
人は善良である。
ものごとはシンプルである。
誤解を恐れず言いますが、人は案外筋の通った存在。
複雑に考える必要は無いのかもしれません。
そしてG氏のこの言葉、私はこう解釈しています。
人はそれぞれ、ありたい姿を必ず持っている(私は必ず、と思っています)。
そして、コーチングはありたい姿へのより早い到達を支援するツール。
換言すれば、到達を妨げる制約=輪っかゴムの一番弱い箇所を、より早く発見するためのもの。
故に、コーチングは制約理論に沿った、シンプルで強力なツールである。
「我に支点を与えたまえ、されば世界を動かさん」
輪っかゴムの一番弱い部分、一緒に探しませんか?
コーチはコーチングという強力なツールを用い、あなたの制約を共に探り、あなたが、あなたのありたい姿により早く到達することを支援します。
※士業を中心としたプロコーチが集い、以下のブログを展開しています。
「コーチング・ガレージ」 https://ameblo.jp/coachinggarage2018/
私のほか、弁護士、中小企業診断士などがブログを執筆しております。
著者
塙 健一郎 / 株式会社未来カ(みらいか)
渋沢栄一は「士魂商才」という言葉を残しています。欲は事業発展への必要条件かもしれませんが、その先にある本当の意味での満足感、幸福感は何から生まれるのか、それをクライアントの皆様と共に考え目指し、実りある関係を育んでいます。