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厚生年金基金は会社が出資している1つの事業

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<厚生年金基金は会社が出資している1つの事業>

厚生年金基金に加入されている企業の経営者の方でも、基金の決算について強い関心をもっていらっしゃる方は少ないと聞いています。

 

お手元に届いた直近の『基金だより』をご覧になりましたか?
前年度(H24年度) の決算報告が掲載されていると思います。

 

もし、会社が出資している事業の決算報告書だったら、「昨年度は、儲かったのか、トントンだったのか、赤字だったのか?」まずその点を必ず確認されますよね。

 

厚生年金基金は、見方を変えれば、会社が出資している年金保険事業とも言えます。
総合型基金でも、単独型や連合型基金と同様に、国の厚生年金部分を肩代わりし(代行部分)、さらに上乗せ部分は会社が保険料を負担して、(社員負担を受け入れている基金もあります)年金受給者に年金を払っているからです。

 

ということは、少し乱暴ですが、

 

『入ってきたお金(保険料収入)』 − 『出ていったお金(年金給付額)』

 

が、プラスだったのか、マイナスだったのかを見れば、基金事業の本業部分が黒字だったのか赤字だったのかが分かります。

 

ぜひ基金だよりの決算報告の損益計算書で確認してください。
収益勘定の、『掛金等収入』が保険料収入です。
費用勘定の、『給付費等』がその年に支払った年金額の総額です。
名称は基金によって違うかもしれませんが、事業収支を確認するには、最低限、この2つを見ればよい訳です。

 

赤字だった場合は、年金給付が保険料収入より多かったということですから、その不足分は、その年の資産運用益(が出ていれば)と過去に積み上げてきた資産を取り崩して年金給付に当てたということになります。

 

これが毎年続くようであれば、健全な事業経営とはいえないです。

 

利益を出す事までは要求しないとしても、せめて収支トントンの事業にしなければ、早晩行き詰まることは目に見えています。
→ まずここに気がついていただきたいのです。

 

しかしながら、この赤字体質を改善するための良い方策がないのが現実なのです。
赤字を出さないためには、

 

@保険料収入を増やす。 
→ 上乗せ部分の保険料率を引き上げて対応している基金が多いですが、これも限界がありますし、追加的な対策としては、加入企業数や加入社員数を増やすか、給料を上げて保険料を増やすなどの対策が考えられますが、現実的ではありません。

 

A給付を減らす。 
→ 肩代わりしている厚生年金部分は勝手に引き下げられませんし、上乗せ部分の年金額の減額は年金受給者の同意が必要ですから、実現には大変な労力が伴います。

 

B運用益を増やす。 
→ AIJ事件を思い出してください。資産運用では毎年勝ち続けることなどできません。

 

C運用コストを減らす 
→ 運用報酬や業務委託費を減らすことは、まずできないでしょうから、人件費を削減するということになりますが、これも限界があります。

 

つまり、基金が直面している問題は、国の年金制度と全く同じ構造なのです。

 

保険料を払う人が減って、年金を貰う人が増え続けていくという現象は、少子高齢化社会によって引き起こされているのです。(基金の成熟化と称したりしています)

 

それでも、国の厚生年金制度には、未加入企業への加入促進を進めたり(ほとんど強制的に)、社会保険への加入基準を引き下げて被保険者を増やしたり(パートタイマーの加入促進が進んでいます)、税金を投入したり(消費税引き上げはそのためです)、100兆円とも言われる資産の取り崩しができたり、まだまだ対応策はあるようですが、基金の場合は、手詰まり感が強いかと思います。

 

ではどうするかということですが、脱退とか、代行返上とか、解散などということの前に、まずは、御社ご加入の基金について、きちんと数字を掴んでおくことが大切かと存じます。

 

もう一つの財務諸表であるバランスシートも読み解く必要があります。これは、また近日中にこのコラムでご紹介しようと思います。
基金の財務分析サービス(簡易版)を承っております。

 

ご関心をお持ちの場合はぜひお問い合わせください。

 

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<厚生年金基金は会社が出資している1つの事業>

 

著者/

山本 臣治 / 山本社会保険労務士&FP事務所

昨今のより厳しい経営状況の中で、従業員の自助努力をサポートし、法定福利費を軽減できる可能性がある、選択型確定拠出年金制度(選択型401K 「年金くん」)のご提案をしています。

 

 

 

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