特許情報をマーケティングツールとして活用する
以下のブログは、特許情報をマーケティング情報として活用する手法(特許マーケティング分析)について述べたものです。
詳細は弊社ブログをご参照ください
(https://www.ipatmos.jp/wp/blog/)
売上の低迷などにより他分野への進出を考える際に重要なのは自社の強みや特徴をきちんと把握して、強みを生かせる分野に出ることです。特許情報は技術情報データベースですが、マーケティングツールとして活用できます。
つまり特許情報を活用して、自社の技術を活かした新商品開発のヒントや販路開拓の方向性などが取得可能。
本ブログでは、最近の特許動向から、どのような分野に市場の関心が集まっているかを見ていきます。
(1) 特許出願は近年30万件程度で推移している
2005〜2017年までの特許出願件数は、2005年に42万件以上あったのが2017年には30万件強と約四分の一も減少。ここまで激減したのは、特許出願をする発明を選択しているためでしょう。(図1)
(2) 審査請求率や登録率は上昇傾向(図1)
しかし、審査請求率(審査請求数の特許出願数に対する割合)や、特許登録率(特許登録数の特許出願数に対する割合)は右肩上がりに増加。とくに特許登録数は2005年から2015年にかけて、特許出願件数が大きく減少しているにもかかわらず、増加傾向です。(図1)
この現象は、企業の意識が「特許出願をする以上権利化する」と変化したためと思われます。
(3) 製造業の売上・営業利益との比較(図2、3)
特許出願件数の現象が日本の経済、とくに製造業の業績にどのような影響を与えたのか見ました。図は特許出願件数と製造業の売上・営業利益の比較です。
売上は2009年のリーマンショックでいったん下がったものの、それ以降漸増。(図2)また、営業利益についてはリーマンショック以降急増していますが、特許出願件数は減少し続けています。(図3)
つまり、短期的には特許出願件数と企業業績は関係ないといえそうです。
(4) FIの分類ではAセクションが近年増加傾向
さて、FI分類ごとの出願件数(2005〜2017年)は、一番多いのがHセクション(電気)、二番目がGセクション(物理学)、三番目がBセクション(処理操作)、四番目がAセクション(生活必需品)の順番です。(図4)
FI分類ごとの出願件数を年で見ると、特許出願件数推移と同じく、ほぼすべてが右肩下がり。ただし、Aセクションのみ、2012年から出願件数が増加へと転じています。おそらくAセクションにおいて、なんらかの新たな研究開発テーマがあるのでしょう。(図5)
以後のブログでは、
・A〜Hセクションごとにどのような出願傾向となっているか
・どのような研究開発テーマがあるか
・テーマに関連したマーケティングはどうなっているか
など、特許情報とマーケティング調査を交えながら見ていきます。
著者
座間 正信 / 株式会社アイピーアトモス
企業の強み、市場の機会、アイデアに関する特許情報、市場における類似商品、今後の成長分野など幅広い視点から儲かる商品開発のアドバイス