特許情報をマーケティングツールとして活用する
前回のブログで「自社の強みが活きる分野を探す」ということで、お茶の焙乾機の例を出しましたが、特許情報をマーケティングツールとして活用する別の例を示します。
図がないとわかりづらいと思いますので、図を見たい方は以下を参照してください。
https://www.ipatmos.jp/wp/2020/02/11/patent-mkt01/
特許情報の活用方法として、マーケティングツールとして使う方法があります。以下はA社の事例です。
A社は主に自動車用にお部品(ギア・シャフト、カムシャフト、トランスミッションギアなど)を製造しているメーカーです。このA社が置かれた状況を特許情報を用いてみると様々なことがわかります。
まず、A社の出願状況を縦軸にFI記号を、横軸に年をとったバブルチャートを作成すると出願の技術内容が異なっていることがわかります。
2000年ころはピポットという技術分野の出願が多かったのに対し、2014年ころからは差動伝動装置に関する特許出願が増えていることがわかります。
おそらく自動車業界を取り巻く環境変化により、求められる部品も変化していることが伺えます。
FI記号の「作動伝動装置」の上位概念(伝動装置)をみると「作動伝動装置」に係る技術的な体系がわかります。
体系図をみると伝動装置という技術は、個体型のものと液体型のものに大別されます。
そして、両者に関係する技術として(機構の細部)と(伝動装置の制御)とが分類されています。
この図表をみると、個体型の電動装置のほうが分類の数が多いため、出願件数が多いことが推測されます。
一般的に出願件数が多くなるとより細かい分類がなされます。
おそらく、個体型の伝動装置のほうが比較的古くから存在しているため累積の出願件数が多いと思われます。
一方、流体型の伝動装置は出願件数が少ないため分類の数も少ないと考えられます。
実際に2000〜2017年の出願件数を見ると、個体型の伝動装置のほうが圧倒的に出願件数が多いことがわかります。
このように、簡単な分析を行うだけでもA社を取り巻く技術状況を俯瞰することができるのです。
参考URL:https://www.ipatmos.jp/
著者
座間 正信 / 株式会社アイピーアトモス
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