コスト削減の正しい進め方
コスト削減はコスト構造を知ることから始める
一口に「コスト」といいますが、人件費もあれば広告宣伝費や製造経費など中身は様々です。要は「金がかかってしょうがないからもっとコスト削減して利益を出したい」ということなのでしょう。
しかし、単純にコストを削減するととんでもないことになります。贅肉を落とそうとして大事な筋肉を落としてしまい、力がなくなるケースがあるからです。
そのようなことにならないために、何に、どのくらいの費用がかかっているのか、その効率は十分化、必要性はあるのかなど『必要な経費』と『ムダなコスト』に分けて、『ムダなコスト』のみ削減することが重要です。
「そんな事はわかっている」
と言われそうですが、以外にできていません。
それは、『必要な経費』と『ムダなコスト』に分けることが相当な労力と時間がかかり、社内の力関係などにも左右される面倒な作業だからです。
コスト削減に手間を掛けないと会社の力を落とす
私は以前ですが外資系(アメリカ系)の会社に勤めていました。そこではある指標に従って事業を行っていました。
それは、RONA(リターン オン ネット アセット)(総資産利益率)というものです。
つまり(利益÷資産)×100で表される指標です。
ある時CEOから「RONAは14%以上にせよ」という厳命がくだりました。
14%以上にならない事業部長はマジで首になるのです。
事業部長はみんな焦ってましたね。
そのときに何が起こったかわかりますか?
利益を大幅に伸ばすことはかなり難しいです。
今まででも頑張って売上とか利益を伸ばしてきたのに競合の存在や事業環境などにより伸び悩んでいたからです。
そこで、多くの事業部は資産を削減しました。
つまりコスト削減ですね。使わない設備や機械はもちろん、まだ使い道がある資産までどんどん売っぱらっていったのです。
さらには研究開発投資まで削減しました。(私のいた部門では研究開発投資はやめました)研究開発費も資産になるからです。
その結果、数年立つと売る商品がなくなり、とうとう赤字に転落しましたとさ。
コスト削減はゆっくり着実に時間をかけて継続させて行う
先程の企業はかつてはピーター・ドラッカーというコンサルタントにべた褒めされたほどの優良企業だったのに、業績悪化により競合他社と合併を強いられ、事業分割されて、それでもまだ赤字の状態から脱することができていません。
この例は極端ですが、下手なコスト削減は会社の業績を悪化させます。最悪倒産に至ることもありうるのです。
コスト削減はダイエットと同じように、ゆっくり着実に時間をかけながら、継続し続ける仕組みを作ることが肝要ということです。
著者
座間 正信 / 株式会社アイピーアトモス
企業の強み、市場の機会、アイデアに関する特許情報、市場における類似商品、今後の成長分野など幅広い視点から儲かる商品開発のアドバイス