財務省が「事業再構築補助金」と「もの補助」へ苦言
9月21日に締め切られた事業再構築補助金、第4次の募集はまだかと思っている向きも多いと思います。
事業再構築促進補助金の公募はすでに始まっており12月21日(火)の締切に向けて始動した会社もあるでしょう。
さて、財務省より「事業再構築補助金」及び「ものづくり補助金」の見直しの要請がありました。もともと安倍政権下での経産省主導で始まった「事業再構築補助金」に対しては財務省としては苦々しく思っているのかもしれません。
11月1日に行われた財政制度等審議会の分科会で以下の報道がありました。
「民間調査会社のアンケートでは業態転換の費用を百万〜5千万円と見積る企業が多いがこの補助金は最大一億円と手厚く補助金への依存や過大な融資を誘発するおそれがある」(東京新聞)
さらに、「コロナで大きな影響を受けた飲食・宿泊業の利用が全体の23%にとどまるなど低調で、支援が必要な事業者に届かないミスマッチが起きているおそれがある」というコメントもありました。
事業費用に関しては業種や業界、さらには個々の企業によっても大きな差がありますので、財務省の言い分は必ずしもあてはまりません。大きな設備投資や土地の買収などを行なう企業にとっては1億円でも事業費用としては足りない場合があるからです。
また、飲食・宿泊業はコロナ禍によりかなりダメージを受けているので新たな事業を興すだけの体力がない企業が多いと思います。
しかし、このような苦言があったために現在審査中の事業再構築補助金第3次募集に応募した企業に対する影響があるかもしれません。
つまり、「コロナ禍の影響」についての影響度や投資の適切性、新たな事業の新規性・成長性など厳しめに審査される可能性があります。
さらに、財務省はもの補助に対しても「過去三年間にもの補助を利用したリピーター企業が全体の15%を占め、補助金依存が常態化している」と苦言を呈しています。
この件についてはすでにリピーター企業を減点するという処置から、「過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外」と、所定リピーター企業の申請を受理しなくなるという影響が出ています。
11月に入り、選挙も終わりましたのでこれからは補正予算の組立に入る時期です。財務省はそのタイミングを狙って過度な財務支出への牽制をしていると思いますが、今後の日本経済の成長を考えれば単純な予算の削減だけではダメでしょう。
これから12月〜1月にかけて来年の設備投資関連の補助金の概要が明らかになる時期です。来年の設備投資関連補助金がどのようになるか目が離せません。
著者
座間 正信 / 株式会社アイピーアトモス
企業の強み、市場の機会、アイデアに関する特許情報、市場における類似商品、今後の成長分野など幅広い視点から儲かる商品開発のアドバイス