事業再構築補助金の公募が開始したが…
中小企業等事業再構築促進事業の公募がようやく3月26日に始まりました。締め切りは4月30日です。
さて、公募要領で目新しいのが審査項目でしょう。
特に事業化点、再構築点、政策点が重要ですが、いろいろと突っ込みどころが満載です。
事業化点のCには、「現在の・・・強味を活用することや既存事業とのシナジー効果が期待される等により、効果的な取り組みとなっているか」とあります。そのため、単に新しい事業を行うというだけではなく、自社の強みを活かした独自性のある事業を行うことが求められているようです。
この内容自体は他の補助金でも同じなのでさほど目新しい訳ではありません。
しかし、新規性要件として「過去に製造した実績が無いこと」や「主要な設備を変更すること」とあります。つまり「今まで経験したことがない」新しい事業なのに「自社の強み」や「既存事業とのシナジー効果」を求めるというハードルの高い内容となっています。
また再構築点は、「再構築指針に沿った取り組みであるか」とか、「全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行なうものであるか」とあります。この内容も上述した「強みやシナジー」を活かすためにはかなり事業内容を考えないといけないでしょう。
特に「リスクの高い、思い切った大胆な事業」を推奨しているように思えますが、リスクの高い事業は失敗する可能性が高いものです。しかし、事業化点で「事業に至るまでに遂行方法及びスケジュールが妥当か」と事業の実現性を求めるなど「いったい何をさせたいの?」と疑問に感じざるを得ません。
政策点の記載も「我が国の経済成長を牽引」とか、「V次回復」とか、「グローバル市場でもトップ」とかいった耳ざわりのいい言葉が並んでいます。でも、この事業の主体は中小企業であり、かつコロナの影響で経営が厳しい企業です。そのような企業にたいして「日本の経済成長を牽引できるようなリスクの高い事業を高い実現性でおこなえ」というのは無茶苦茶です。
公募要領を見た限りでは「審査する人は大変そうだな〜」という印象しかわきません。特に新規性要件を厳しくするとかなりの企業が「新規性要件違反」で採択されないと言うことになるでしょう。
まだ始まったばかりの事業再構築補助金ですが、今後どのように推移していくか見守っていきたいと思います。
著者
座間 正信 / 株式会社アイピーアトモス
企業の強み、市場の機会、アイデアに関する特許情報、市場における類似商品、今後の成長分野など幅広い視点から儲かる商品開発のアドバイス