もらった補助金に税金がかからない圧縮記帳※の効果とは
融資と違って返済しなくてもよい補助金。
ところでもらった補助金に税金はかかるのでしょうか。「まさか会社にあげたお金から税金をとることなんてしないだろう。」と思っているあなた。
残念でした。会社にあげたお金であってもちゃんと課税されます。
例えば2000万円の機械を購入するのにその半分1000万円の補助金が交付されたとしましょう。
その1000万円はまるまる利益ですから仮に税率が30%とするとその分だけで300万円の法人税を納めることとなります。
しかし圧縮記帳をした場合、1000万円の利益を帳消しにする固定資産圧縮損が計上できます。
これによって補助金にかかる税金はゼロとなります。
どうやるかというと機械装置は2000万円でしたがここから1000万円を圧縮し、機械装置の帳簿価額を1000万円とします。
(圧縮記帳)つまり補助金として得た1000万円の利益を固定資産圧縮損として帳消しにできるためにもらった補助金への法人税は結果的にゼロとなるわけです。
しかし喜ぶのは早すぎます。
機械装置の減価償却を10年間かけて定額法で行う場合、2000万円の機械を購入すると本来は毎年200万円の減価償却費が計上できるはずでした。しかし圧縮記帳をした結果、その機械の帳簿価額は1000万円となるので毎年の減価償却費として100万円しか費用計上できなくなります。
もともと毎年200万円の費用が発生するところ、100万円の費用しか発生しないので、100万円の利益が増えたことと同じことになります。
その結果何が起こるかというと、増えた100万円の利益に対して30%課税される計算が成り立つため毎年30万円の税金がかかるのです。つまり10年間で300万円の税金がかかることとなります。
要するに最初の一年に納めなくてはいけなかった300万円の税金を10年かけて納めることとなるわけです。
税金そのものが免除になるわけではないので「儲かった」と喜んでばかりいられません。
ただし、10年間にわたりずっと黒字という企業は少なく、赤字になると税金を払わなくて良いので、圧縮記帳をしたほうが支払う税金は少なくなる可能性は高いです。
※圧縮記帳とは、有形固定資産の取得を補助金で行う場合、その取得価額を圧縮することで圧縮損を計上し、補助金と圧縮損とを相殺してその年度の税負担を軽減する効果がある。
著者
座間 正信 / 株式会社アイピーアトモス
企業の強み、市場の機会、アイデアに関する特許情報、市場における類似商品、今後の成長分野など幅広い視点から儲かる商品開発のアドバイス