「悪い値引き」と「いい値引き」
今回は「悪い値引き」と「いい値引き」について考えたいと思います。
まず、一般的に値引きのデメリットは以下のようなものです。
1)利益率が低下する。
2)1回値引きしてしまうと、その後、定価で購入されなくなる可能性がある。
3)頻繁に値引きセールを行うと、あの店(会社)はよく値引きしているという印象を与えてしまう。
よって、上記のような結果をもたらす値引きは「悪い値引き」と言えます。
それに対して、「よい値引き」とは、「利益の総額を増やせる」値引きです。
値引きをすると1商品あたりの利益率は低下してしまいますが、顧客の購買動機を換気し、他の商品を同時購入するなど、利益の総額を増やしていくことができれば、よい値引き政策と言えます。
具体的には以下のようなものです。
1)ボリューム値引き・継続購入値引き
大口の発注や長期契約を結ぶ顧客に対して値引を提供するもので、顧客のロイヤルティを高めることにつながります。また、大量購入によるスケールメリットで調達コストの低減が見込めることもあります。
2)新規顧客獲得値引き
新規顧客向けに、初回購入時に特別割引を提供するもので、通販などでよく実施されています。これによって新規顧客の購入のハードルを下げ、顧客が商品に満足すれば、その後の継続的な取引につながり、長期的な利益が期待できます。
3)新商品発売記念値引き
新商品を発売した際に行う値引きで、2)と同じ効果を狙います。新商品に満足すれば、その後の継続的な取引が期待できます。
4)複数購入値引き
1取引の購入個数、または購入人数に応じて行う値引きで、靴の販売店の「2足目購入時は半額」のような例です。元々1個しか購入の予定がない顧客の、購入個数や売上単価を引き上げることができます。
5)会員値引き
「会員限定15%OFF」など会員顧客に向けて行う値引きです。新規顧客に対して、この値引きが誘因となって会員になってもらえれば、会員数増加に寄与します。
6)紹介値引き
「友人の紹介で紹介者ともに20%OFF」など、既存顧客に対して友人など新規顧客を、紹介してもらうための値引きです。友人から紹介されると、継続顧客に発展する可能性もあるため、顧客獲得コストの削減につながります。
以上にように、単なる値引きセールの印象を与えず、顧客の購買動機を刺激し、総額として利益を増やすことにつながれば、値引きという選択肢もありです。
米澤 裕一 / 合同会社バリューアップ
経営コンサルタントとして独立後、1年目でものづくり補助金で90%の採択実績を残す。勝てる土俵で顧客提供価値を高め、補助金を活用した資金調達やボトルネックの改善によって、200社以上の利益改善に貢献。