「不」の解消に着目する
「猫舌の人」をターゲットにし、熱々の飲み物を飲みやすい温度にすることでヒットしている「猫舌専用ボトル」という商品があります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000444.000028427.html
ちなみに私も猫舌ですが、便利に使っています。
仕組みはとてもシンプルです。
ボトルの内側に吸熱材を入れて飲み物の熱を吸熱し、飲みやすい温度に下げます。
真空2重構造になっており、95℃の飲み物を入れると3分後に飲みやすい約70℃になり、その飲みやすい状態が約1時間続きます。
マーケティングにおいて、顧客ニーズの絞り込みが重要ということはよく知られています。
顧客ニーズは大きく二つに分かれ、一つは「願望実現」、もう一つは「不の解消」です。
よりおいしいものを食べたい、より楽しいことをしたいなどは、楽しさを求める「願望実現」です。
それに対して「不の解消」は、不都合、不便、不満、不安など、困りごとの解消です。
「不の解消」のニーズは、一般に「願望実現」より強い欲求となります。
「猫舌の人」の困りごとは、「熱い飲み物が飲めない」ことです。
「猫舌の人向け」というとニッチ商品に見えますがそうでもないようで、実は半数近くが猫舌に悩んでいるという統計もあります。
https://weathernews.jp/s/topics/201812/030185/
このように「ニッチに絞っているようで、実は潜在顧客が多くいる」という商品は、目の付け所が良い、筋のよいターゲティングの考え方です。
今までは「猫舌向け」の商品がなかっただけであり、出したら実際に売れたわけです。
このセグメントは、ボトル以外にまだ商品・サービス開発の余地がありそうです。
米澤 裕一 / 合同会社バリューアップ
経営コンサルタントとして独立後、1年目でものづくり補助金で90%の採択実績を残す。勝てる土俵で顧客提供価値を高め、補助金を活用した資金調達やボトルネックの改善によって、200社以上の利益改善に貢献。