顧客の顧客を分析する
ビジネスを成功させるためには、「顧客のニーズを把握せよ」とよく言われます。
顧客の先には、その顧客の顧客が存在します。
そして、顧客は、その先の顧客のニーズを持たすことでビジネスをしています。
ということは、顧客の顧客がどのような要求を持っているのか、どのような課題を抱えているのか、
を分析すれば自社の顧客のニーズを把握することができます。
例えば、顧客の顧客が、顧客に対して「納期の迅速化」を求めているとします。
そうすると、自社の顧客は、顧客の顧客の要求に応えるために、IT化や物流見直しなどで、
「納期短縮のネックになっている業務を改善したい」というニーズが発生します。
言われてみれば当たり前のような話ですが、顧客の顧客のニーズを探ったり、
仮説を立てたりすることは、意外と行われていません。
能登半島の震災から3週間以上経過しましたが、避難所で暮らす人々にとっては、当面の間、非常食や保存食が食事の中心となります。
非常食は炭水化物が多いので、どうしても野菜不足になりがちです。
カゴメは、当初はギフト需要をメインとして開発した「野菜たっぷりスープ」の賞味期限を5年半に延長し、非常食として位置づけ、ヒットしています。
これを実現できたのは熱・光・酸素を通さない特殊フィルムの包装パッケージの存在です。
このパッケージを採用することで、食品の劣化を防ぎ、長期の賞味期限を実現できました。
包装パッケージメーカーにとって、直接の顧客は食品メーカーで、その先の顧客は消費者です。
その消費者を、「被災者や、被災者を抱える自治体や高齢者施設」とセグメントし、そのニーズを、「被災中でも野菜を取れる備蓄品が欲しい」と分析することで、「野菜スープを長期保存できる包装パッケージ」という製品アイデアが生まれます。
改めて、自社の顧客の顧客は誰で、どのような悩みや課題を抱えているのか、を考えてみることは、自社のビジネスを見直す上で、ヒントになります。
米澤 裕一 / 合同会社バリューアップ
経営コンサルタントとして独立後、1年目でものづくり補助金で90%の採択実績を残す。勝てる土俵で顧客提供価値を高め、補助金を活用した資金調達やボトルネックの改善によって、200社以上の利益改善に貢献。