組み合わせによる新サービス創造
世の中にない新たな商品やサービスを生み出す活動を「ゼロイチ」と呼びます。
まさに、ゼロから1を創り出すことを意味する言葉ですが、画期的な商品やサービスは、全く新たな発想で産み出されるよりも、既存商品・サービスの「組み合わせ」によって産み出されることが多いと言われています。
スティーブ・ジョブズも革新の源泉である創造力について、「創造力とは、いろいろなものをつなぐ(組み合わせる)力である。
一見、関係ないように見える別分野のアイデアを上手につなぎ合わせる力だ」と言っています。
ジョブズが発明したスマホも、携帯とPCの組み合わせと言えますね。
トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏は、米国視察の際、日本ではまだ普及していなかったスーパーマーケットたまたま立ち寄りました。
そこでは、顧客が「必要とする品物を、必要な時に、必要なだけ」入手することができます。
これを生産工程に応用しました。
食品や日用雑貨品を扱う小売販売に、コピー機やATM設置による便利サービス、おでんや肉まん、本格コーヒーなど温かい食べ物・飲み物の持ち帰りサービス、ひとつひとつは驚くようなサービスではありませんが、組み合わせが新たな価値につながり、今や生活に欠かせない社会インフラです。
組み合わせによる成功例は中小企業でもあります。
大阪府門真市の大日運輸は、建設現場へ配送を中心に成長してきた物流会社です。
1990年代に、バブル崩壊後の不況で厳しい価格競争に巻き込まれ、単に物を運ぶだけでは仕事は先細りすると考え、建材加工サービスを始めました。
外壁工事に用いる建材は、納入先の現場の寸法に合わせて加工を行います。
同社は、様々な切断加工設備を導入して、この加工を引き受け、配送の前工程として建材加工サービスを行っています。
現在は「物流のコンビニ」をキャッチコピーとして掲げて、建設現場のニーズに合わせた様々なサービスを展開しています。
どの会社にも、必ず強みがあり、基本サービスがあります。
強みがある既存サービスに何かを別のものを組み合わせたとき、新たな価値を生み出せる可能性があります。
組み合わせの視点は、「顧客の困りごとの解消」です。
顧客の困りごとにアンテナを張り、それを解消するために、既存サービスに何かを組み合わせることで貢献できないか?
それは、意外と異業種から学ぶことも多いです。
米澤 裕一 / 合同会社バリューアップ
経営コンサルタントとして独立後、1年目でものづくり補助金で90%の採択実績を残す。勝てる土俵で顧客提供価値を高め、補助金を活用した資金調達やボトルネックの改善によって、200社以上の利益改善に貢献。