BtoCビジネスで重要な「感情的価値」
前回の続きになりますが、顧客に提供する価値は、次の3つから構成されます。
1)機能的価値
2)感情的価値
3)経済的価値
1の機能的価値だけで勝負しようとすると、差別化が難しく、また、価格競争に巻き込まれやすくなります。
今回は2つめの感情的価値についてです。
これは、法人向けではなく、消費者向けの製品・サービスを扱っている企業において重要です。
どのような価値かというと、文字通り「感情を揺さぶる価値」です。
身近な例を挙げると、地元の栽培者が作った野菜を置いているスーパーがあります。
そこには、顔写真が載った地元の〇〇さんのPOPがついており、「私はこんな思いでこのほうれん草を作りました」「こだわりの栽培方法は・・・、無農薬で・・・」など書いてあります。〇〇さんのほうれん草にかける思いとか、手間ひまかけて栽培した野菜を地元の人に食べて欲しいという思いが伝わります。
それを読んで、「そうか地元の〇〇さんという人がこんな思いで作っているのか」「応援してあげたいな」「少し高いけど買ってみようか」と、そのほうれん草に手が伸びたのであれば、感情的価値を感じたということになります。
また、パソコンであればMACPCを持つ人の多くは感情的価値で購買しています。画面サイズ、メモリーの大きさ、HD容量などの機能的価値だけでは選んでいないはすです。
例えば、
・洗練されたデザインがいい
・何よりスティーブ・ジョブズが好き
・持っているとかっこいい などです。
このように製品・サービスに感情的価値を盛り込むことで、
・価格競争を回避できる
・熱烈な応援者が集まりやすくなり、口コミが期待できるなどの効果があります。
それには、以下のような要素が必要です。
まず、自分はどのような思いでその製品・サービスに取り組んでいるか、という理念をしっかり持ち、製品・サービスの開発ストーリーを明確にします。
そして、それを自己開示します。製品やサービスに人柄が滲み出ていると、そこに共感する消費者もいることでしょう。
次回は、法人向けビジネスで重要となる「経済的価値」について解説します。
米澤 裕一 / 合同会社バリューアップ
経営コンサルタントとして独立後、1年目でものづくり補助金で90%の採択実績を残す。勝てる土俵で顧客提供価値を高め、補助金を活用した資金調達やボトルネックの改善によって、200社以上の利益改善に貢献。