「利益回収速度」を意識する
ビジネスの型として、「利幅」で儲けるか、「回転」で儲けるか、の2つに分けられますが、今回は「回転」について考えます。
回転がよいほど、限られた資本で売上・利益を作り出していると判断できます。
回転を早めるということは、材料ならば、仕入れたものを使って素早く製品を作り、すぐに売って、すぐに代金を回収する、ということです。
このサイクルで、現在、年間1000万円のキャッシュを稼いでいたとしたら、サイクルを半年に短縮できると、2000万円のキャッシュ増が見込めます。
上記は単純な例ですが、「利益回収速度」を意識することは、非常に重要です。
速度を上げるために、現在の仕入〜生産〜納品〜回収の一連の流れの中で、どこにボトルネックがあって回転が悪いのか。
どうすればボトルネックを解消してスムーズに流れるようになるのか。
などを考える必要があります。
また資産の保有にはコストがかかります。
例えば、在庫であれば、在庫があることによって、在庫金利や保管費用、また、長期に在庫して価値が下がると、棚卸評価損などがかかります。
売掛金の回収が長引いてしまうと、金融機関から運転資産を借りざるを得なくなり、支払利息がかかります。
コストの面でも、回転がよいことはメリットがあります。
中小企業は、中堅・大手企業に比べて、人も少なく、お金も少なく、商品力も弱いです。
そんな中で利益を上げるには、資産を早く回転させる「利益回収速度」を意識した経営を目指すべきです。
小回りの良さは中小企業の大きな武器ですね。
最後に、松下幸之助さんの「ダム式経営」の話をご紹介したいと思います。
松下さんは、経営においては、回転を早くして、お金を会社にため(ダムに水をため)、必要な時にお金を使う(水を放流する)べきであるという話を、講演でしました。
それを聞いていた聴講者が「それはわかるが、実際にはどうすればいいのか」と聞きました。
松下さんは少し考え、「まずは、あなたがその姿になりたいと真剣に思うことだ」と言いました。
具体的な話が聞けると思った多くの人は「思うだけならだれでもできる」と苦笑しました。
ただ一人、「そうか、真剣に思うことが重要か」と素直に納得し、のちに経営に生かして大成功しました。
その方が京セラ創業者の稲盛さんです。
いかにマインドセットが重要であるか、という逸話です。
米澤 裕一 / 合同会社バリューアップ
経営コンサルタントとして独立後、1年目でものづくり補助金で90%の採択実績を残す。勝てる土俵で顧客提供価値を高め、補助金を活用した資金調達やボトルネックの改善によって、200社以上の利益改善に貢献。