「 企業再編務訴訟でなぜIBMは勝訴しヤフーは負けたか?税務訴訟考察レポート」
「 企業再編務訴訟でなぜIBMは勝訴しヤフーは負けたか?」
企業再編訴訟に関するものであるが、IBMは、平成26年5月9日の東京地裁判決で、1200億円の課税処分を散り消させ、平成27年3月25日の東京高裁判決でも勝訴している。
ところが、ヤフーとその子会社IDCFは、平成26年3月18日の東京地裁判決で、敗訴している。
IBM事件は、米国IBMと日本IBMのあいだに中間ホールディングカンパニーを設置するときの税務処理が後に税務当局から否認されたものである。
ヤフー事件は、企業再編として、合併や企業分割を遂行したが、666億円の繰越欠損金の処理について、否認されたものである。
いずれも、手続き的には法律の要件を満たしていたが、法人税法132条2により、法人税を法の趣旨目的に反して不当に減少させたとして否認されたものである。
ただ、その手続きは、M&Aの実務現場では、なんの問題もないと一般的に行われたものである。それが否認されたということは、M&Aの現場に与える影響は計り知れない。
幸いに、IBMは勝訴したが、ヤフー、IDCFは負けた。なぜ、このような違いが出たのだろうか。
これらの税務当局の処分、税務訴訟の結果は、これからのM&Aの実務に、如何なる影響を与えるだろうか。
これらは、M&Aにたずさわるものとしては、よく検討しておくべき課題である。