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有事のルール−:「続・マイナンバーの終着点」 [迫りくる法改正の荒波−15](コピー)

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有事のルール−: 「全ては、ここから-?」 [迫りくる法改正の荒波−16]

〜「人口減」がもたらす企業への衝撃

<序文>
先ずは、次の表をじっくり観察してみて戴きたいと思います。
真ん中から左が25年10月1日現在の、右側が26年10月1日現在の何かの数値を表しています。

 25/10/1 : 26/10/1
 ----------:-----------
H
25 00 101 : 26 00 101
23 02 103 : 24 02 103
21 04 103 : 22 04 103
19 06 107 : 20 06 106
17 08 105 : 18 08 105
15 10 111 : 16 10 109
13 12 116 : 14 12 114
11 14 117 : 12 14 117
09 16 118 : 10 16 119
07 18 121 : 08 18 118
05 20 119 : 06 20 121
03 22 119 : 04 22 120
----------------------
S
34 54 154 : 34 55 153
33 55 150 : 33 56 149
32 56 146 : 32 57 145
31 57 153 : 31 58 153
30 58 158 : 30 59 158
29 59 159 : 29 60 158
28 60 169 : 28 61 168
27 61 178 : 27 62 177
26 62 189 : 26 63 188
25 63 203 : 25 64 202
24 64 222 : 24 65 220
23 65 220 : 23 66 218
22 66 209 : 22 67 207
21 67 130 : 21 68 128
20 68 139 : 20 69 137

 

気付かれた方もいらっしゃるでしょうが、両サイドの左端は年号、中列は年令を表しています。では、右列は何を示しているのでしょうか:
ヒントは、両サイドの22歳と65歳各4マスにあり、私共はこれを「△100万ショック」と呼んでいます。

 

●もうお判りかと思いますが、右列は日本人の年齢別人口実数値(万人)です。
22歳の119、120は共に次年度新卒予定者の近似値、65歳の220は、個別差に関わりなく、その時点で全員がリタイアしたと看做すと、「出」が220で「入」は120、差引き100万人の不足となる為、「マイナス100万ショック」と表現した訳です。

 

●過不足から云えば、今後予想される事態はより深刻です。
10年後の新卒者数は更に6万名ほど減り、20年後には総数100万人を維持できるかどうか、ギリギリの所に来ることが明らかだからです。
一昨年(2013年)以降、來年にかけ、65歳到達者が850万人も一気に累増するため、先ずは年金財政問題がヒートアップ、続いて預貯金の大量流出を引き金とする金融機関の預金残高縮減による預金獲得競争の激化、ボーダーレス化、貸し付け枠の引き絞り、資金繰り悪化による中小事業者の行き詰まり、景気低迷へ−という悪循環の絵柄が、マスコミでも再三取り上げられ、そのような視点から議論がなされて来ました。

 

●しかしながら、この未曾有とも云える人口減少問題に対する政府の危機感は並大抵のものではなく、政策ベースでは、既に昨年から具体的指針を次々に打ち出し、これにより金融業界には、第二次再編の大波が襲い掛り始めているようです。

 

●消息筋によれば、政府の描くシナリオは概略次の様なものとされています。

 

人口予測値からも、早晩、労働力の需給関係は凡そ 「需要4 : 供給1」 という極端な売り手市場となり、人材獲得競争激化による人件費の高騰が共倒れを招くのは必至。
よって今の内に、経営不振事業者に引導を渡し、事業者の絶対数を減らして置く必要がある‐というのですが、それは一体どんな筋書きを指すのでしょうか?

 

<本文>
●序文の数値は、総務省統計局発表の「年齢(各歳)、男女別人口の計算表−総人口、日本人人口」から引いたものです。一方、2014年度版「中小企業白書」によれば全事業者数386万のうち中小規模事業者が385万、大規模事業者は1万余りであると算出されており、従業者数で見比べると、大手の平均が1270名であるのに対し、中小では僅か8.3名という構成になっています。

 

単純比較でも153:1の比率となり、これをそのまま労働市場における雇用吸引力と考えると、大手が153名を確保してしまえば中小に回るのは残りの1名に過ぎないということであり、もっと云うなら10年後には、大手ですら最大で平均113名しか確保できず、早い者勝ちで考えた場合は、4分の1に当る2,500程の事業者は、一人も新卒者(22歳)を採用できない−従って、中小事業者には一人も新卒者が回って来ない−という事を意味しているのです。

 

●別の角度から見ても、この予測はそれほど的外れとは申せません。2014年現在の各数値がこのまま推移したとして、2034年の新卒者は約100万人ですから、例えば大手1万事業者が平均100名を採用してしまえば残りはゼロ、中小規模事業者は一名たりとも採用できない−という状況が必然的に生じます。これが、政府の抱く危機感=労働力の極端な売り手市場化(買手386万:売手100万≒4:1)に伴う人材獲得競争激化と人件費高騰による共倒れ)の背景なのではないか、という説もあります。

 

●人口減による人材供給の枯渇が、一人当たり人件費の上昇要因となるのは、左辺=右辺となる恒等式から考えれば当然の帰結であり、一見、小難しく見える次の様な「政策」も、その同じ恒等式から導き出されたのだとすれば、合点が行くのではないでしょうか。

 

@欧米に比べ、低水準とされる起業率(4.5%)を10%に引き上げる、と同時に廃業率も10%に引き上げる。
A廃業に当っての、経営者保証に関するガイドラインを設ける。
B金融機関については、保証や担保等に傾斜し依存した融資や過去の業績(財務諸表)をベースにした融資から、持続可能性を含む事業性を重視した融資(融資先の現場を良く知る行員による現場目線での評価=目利き=による融資)へ足場を移し、 融資先の経営改善・生産性向上・体質強化支援等に取組むよう促すと共に、モニタリングの強化と運用を図る。

 

●政府が唱える成長戦略を軌道に乗せるには「産業の新陳代謝」が不可欠であり、産業の新陳代謝とは、「起業と廃業の促進」に他なりません。
その意味で@は、不思議でも何でもない目標と云えます。
人材の取り合い合戦で事業者の体力が損なわれ、疲弊して共倒れする前に、事業性=将来的見込み=のない産業・事業には、市場からの撤退を促す。

 

その際、永い間踏襲されてきた個人保証重視型融資慣行では、経営者の個人資産が丸ごと失われる事も多く、廃業促進の障害となりかねない。
そこで、ガイドライン=一定の生活資金を残すことや保証債務の履行時に、金融機関側に残存債務の免除を求める国の指針=を設け(2014.02)、廃業に踏み切りやすい環境整備を図ったのがAの政策という事になります。
また、Bでは、この10年来云われ続けている「事業性に関する目利き」が、一層強調されています。

 

●財務数値をPC入力して弾き出される通り一遍の評価方法(スコアリング)にダメ出しをされた挙句、貸付け金の損切り(債務免除=借り手からすれば、政府のお墨付きによる借金の棒引き)を迫られ、預金量も行員の応募者も減少の一途---。
已む無く合併等による再編に−と云うのが地銀等の最新事情の様ですが、その影響を少なからず受ける中小事業者にとっても、他人事ではありません。

 

悪循環を生む根源が「人口減」であり、すべてはここから−だとしても、だからこそ、手を拱いていて良いという理屈にはならず、たとえ今からでも、考え得る対策は、悉く講じておかねばならないのではないでしょうか。

 

有事のルール−: 「全ては、ここから-?」 [迫りくる法改正の荒波−16]

 

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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